心から感謝


18歳のわたし。高校を卒業して看護師になることを夢見て神戸でひとり暮らしをはじめた。地元からひとり暮らしをはじてたのは当時わたしだけだった。この部屋に入居した理由はこの空。空がきれいだった。一生懸命働きながら父と母がこの部屋に4年間済ませてくれた。母がはじめにわたしに握らせた5万円を鮮明に覚えている。お父さんがフレームベッドを泣きそうな顔しながら組み立ててくれたな。最初の3か月は何にもわからなくて、わくわくもあったけど、学校は大変で、毎日の生活に必死で、本当に辛くて、こころ許せる友達もなかなかできなくて、眠れなくてどうしようと思っていた。当たり前だけど、ティッシュって買わないとないんだなぁとか、洗い物とか洗濯とかお弁当とか、母へ本当に心から感謝したのを覚えてる。母からはダンボールにたくさんのお菓子やカップラーメン、そして手紙が送られてきた。なにかあったらいつでも電話しておいでと。高校の部活仲間や中学の親友からは手紙がたくさん届いた。部屋に貼って、いつでもみられるようにした。それがあったからがんばれた。学生生活に慣れてきたころ、相棒と出会った。あやちゃんに出会った。この部屋にもいっぱい遊びに来てくれたね。さみしいときも一緒にいてくれたね。ケンカもしたし、失恋だってして泣いたりした。忘れられないはじめて受け持った患者さんにも出会った。こっちの生活も楽しくなってきて、だんだんと実家へ帰る頻度も少なくなった。悔しくて泣いたり笑ったり怒ったり、この部屋にいつもお世話になった。今の旦那さんに出会ったりしながら22歳。とうとうわたしは看護師になった。看護師になってもひよこで(多分今も)しばらくは辛かったなぁ。患者さんからいただいた手紙とか同期の手紙とかこれまた部屋に貼っていた。そんなこんなで26歳。こんなわたしがリーダーや委員会まで任されるようになってしまった。自分が1番上の夜勤なんていっぱいある。これまた悔しい時もこの部屋でどれだけ泣いたか。どれだけ喜んだか。反省したか。経済的に自立してやっていけるかな、仕事もなんとなくはできてきたかなと思った頃に結婚することになった。素敵な新居が見つかった。明日、この部屋を大家さんにお返しします。8年間も過ごしました。来た頃は山ばっかりだったのに今はすっかりおしゃれなモールまで近くにできてしまって便利になったものです。ありがとうの気持ちを込めて夜勤明けで寝ずに今日はお掃除した。
もっと普段からすみまで掃除しとけばよかったなと思うほどのほこりもありましたごめんね。次にここに入居する人が幸せな生活を送れますように。たくさんの思い出はずっと胸にしまって、新しい場所で生活するね。本当にありがとう。ありがとうございました。なんでか涙が止まらない