今日は会社休みます

というようなテンションで「お母さん仕事やめることになったから」と電話がかかってきたのは1週間前のこと。
母から電話がかかってくることはめったにないもので、これは様子がおかしいと察する。
なんといっても、母は今さっき辞めると言った勤務先に12年も勤めていた。
わたしが中学のときも、高校のときも、健康診断とかでお世話になったクリニック。私は母の働く姿もずっとそこで見てきたのだ。
話を聞くと、どうも母のことが気に入らないから辞めるという新しく入って3か月の看護師がいたらしく、人事から母の配置換えを考えていると告げられたらしい。母はもうそんなことなら潔く辞めるときっぱり言ったらしい。12年間勤めた場所を、3か月そこらの新人のためにどうして母だけが悪者になり辞めなくてはいけないのか、母のショックは相当だったと思う。それから毎日連絡するものの「だいじょうぶだから〜♥」と返信が返ってくる。大丈夫なわけないのに。生き生きと働く母の姿を誇りに思っていた。患者さんに信頼されている母の姿を見て、看護師っていい仕事だなって思った。わたしは悔しくて悔しくて、自分にどんなに辛いことがあったときより辛かった。母にも否があったのかもしれない、でもどうしてそんな身勝手な新人の奴のせいで母の居場所がなくなってしまわないといけないのか、人事も守ってくれないスタッフも守ってくれない、そんなことが起きていいのかと本当に悔しくてならなかった。母だけが悪い訳じゃないだろう。そのせいか何十年ぶりかの39℃の熱を出してしまった。


確かに母はその素直でまっすぐすぎる性格のせいで不器用で多少損することがこれまでいっぱいあって、そんな姿も見てきたせいか、わたしは結構器用に育ったと思う。もうちょっとうまくやりゃいいのに母ちゃん...と思うことも多々あった。
でも、どれだけ年齢を重ねてもまっすぐでいられる母のことをわたしは尊敬しているし、その母はたくさんの患者さんを救ってきたのは事実でこれからもずっと変わらないでいてほしいと願っている。


私はすぐに実家に帰られそうになかったので、妹に様子みてきてくれーと頼んだら了解したとのこと、なんと母を旅行に連れていってくれるそうな。頼もしくなったもんだ。家族っていいな、って心から思った。(うちの父ちゃんは母より傷ついてそうなので触れないでおく)


今日電話したらもう次の勤め先を決めるために履歴書を送ったらしい。母は強し。まぁ職場かわろうかなと思ってた時期と重なってたので結果的にはよかったかな、てへぺろとか言うている。しかし実は数日ごはん食べられなかったらしい。やっぱり。(うちの母は食べることがなによりも幸せで食べられないなんて結構最悪の事態なのである)辞めることを患者さんに伝えたら泣いてくれたからもうそれだけで有難いらしい。


母が次の職場でさらに輝けますように。今はそれだけを願っている。


そしてわたしは母の前の職場に行って菓子折り下げて「どうもうちの母親がお世話になりました、母親だけが悪かったみたいでね。みなさんは楽しく仕事できてなによりです。どうも申し訳ありませんでした。でも患者さんには母親が必要だったみたいですよ。」とお伝えしてこようかなと計画を立てている。阪急電車の中谷みきみたいに、これぐらいは許されるだろう。そのあとの電車の隣のおばさまに「もう十分復習できたのなら、あなたのために辞めなさい」との助言をすでに母は実行しているのだから。うちの母親舐めんじゃねーぞ。クソ人事。
舐めてっと....代わりにこのにのさん置いとくわ。代弁してくれそう。

菓子折りの表紙にこの写真載っけとこうかな。わかるひとにはわかる的な。