イチさんの髪の毛がパーマじゃない

観てきた。ネタバレいっぱいなので閉じる閉じる。

  • 現実と理想を混ぜた希望

「狂ってると思わないか?」
序盤で看護師たちに批判し続けられる進藤が一止に放ったひとこと。
毎日を思い返すと、私も正直、医療現場は狂ってると思う。
業務時間内でひとりひとりの患者さんの話を聴く時間もなく、
一番大切なここが欠落したときには時間外に聴きに行くしかない。
遅くまでカンファレンスをし、医師は「仕事があるので20時以降に先生の話を聞きたいです」という患者家族のよく考えなくても理不尽な希望に答える。
医師も看護師も人間で、神様でもなく天使でもないひとりの人が、医療者であるという理由で時間外の仕事を笑顔ではいはいと受け入れる。
それを見て、「いい先生ですね、看護師ですね」と評価されてしまう。
本当に狂ってると思う。
そして体を壊す医療者をこのちょっとの間でわたしはたくさん見てきた。
まさに、体を壊した当事者は病気を再発してしまった私自身でもある。
寝る時間を惜しんで勉強する、仕事する、狂っている。
でも、この状況を持続させなければ途端に置いていかれる。
続けるしかない状況にみんなあるんだと思う。


そんな現場での貫田先生の「希望はある」との言葉はなんて美しいのかと思った。理想だけではない、現実を知る先生のひとこと。
カルテを書き上げた貫田先生の生き方は、まさに生き方を全うしたと言える。
患者のために働き続け、最期のときになっても患者のカルテを書き上げるという貫田先生の生き方を貫田先生は後悔していなかった。
わたしはとてもとても複雑な気持ちになったけれど、そうやって貫けることがあって、最期のときまで「らしくいられる」というのはすごいことだな、皮肉にもそんな生き方ができればいいなと思ってしまう。矛盾だらけである。

  • 「切り換える」

「緩和ケアに切り換える」これも進藤が貫田先生のへのひとこと。
誤解を招いてしまう表現だと思ったので少し突っ込んでみる。
診断時から緩和ケアは導入すべきだと今や言われています。
私の考え方も一緒で、緩和ケアは亡くなる方へのものに限定されるのではなく、
診断時、もしくは診断前から、上手に病と共に生きるために必要なものであると考えています。よって、「切り換える」のではなく、「ウエイトをかける」という表現がよろしいかと思いました。

  • おかえりなさい

ハルさんが包容力ありすぎてまたもやびびる。
わたしには到底というか一生無理。無理無理無理。
ハルさんと結婚したい。(え)

  • 主治医の役割は治療することだけではない

治療という定義を離れて考えると、
満点の星空は、貫田先生と奥さんにとって、治療であり、ケアであったと思います。治療ではできないことがあるけれども、できないことでもそれがなにかに代替されれば、それこそが患者さんにとって必要な治療であると思う。

  • 東西主任

かっこいい。大好き。一緒に働いてみたい。
でも怖そう。笑

  • 病棟コーヒー事件

ここのイチさんがよかったよ。
コーヒーをぶっかけてたよ...。
ちょっと藤原竜也さんがおおのさんにほんとにたまに似てて
いろんな気持ちが渦巻いたのはわたしだけではないはず。。




いい映画でした。
答えはないけど、答えがないことが大切だと思います。
わたしはいつか、患者さんのことはもちろん、
スタッフを大切にできるスタッフになりたいなと思います。